0人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は旅行会社で年末年始休みなく働いて、1月前半まで忙しい毎日を過ごしていた。
1月下旬少し仕事が一段落したところで裏半球に旅行しようと考えていた矢先、会社で仕事中の僕のスマートフォンに妹の月奈から電話が入った。
「お兄ちゃん…」
月奈はただならぬ様子で、電話の先で泣いているようなすすり泣きする音が入ってきた。
「月奈、どうした?
落ち着いて、何があったのか話して!」
僕が月奈を落ち着かせようと話しかけると、
「お母さんがお店で強盗に襲われて、救急車で病院に運ばれたんだけれど、たった今息を引き取ったの…」
と泣きながら話してくれた。
「月奈は大丈夫か?
僕はすぐにそっちに行くから、できるだけお母さんのそばにいてあげて…」
僕は月奈にこう告げると、さっそく上司に事情を告げて、今日の夜最終便の高速飛行艇で裏半球に向かうことにした。
年末年始の繁忙期を過ぎていたため、当日でも何とか高速飛行艇のチケットを手に入れることができた。
裏半球に到着してさっそく月奈に電話を入れると、月奈は自宅に帰っていて母の遺体は司法解剖のために警察署で預かっているという話だった。
僕は母と月奈の自宅に行って、月奈に状況を教えてもらった。
「お店は19時に開店なんだけど、お母さんと私はいつも16時頃からお店に入って開店準備を始めるの…
この日はお店の掃除をしてから私は食材の買い出しのために店を出てスーパーに買い物に出かけたの…
買い物を終えてお店に戻ったらお母さんが倒れていて、お店のレジが荒らされてお金が盗まれていたみたいなのよ!」
と僕に話をしてくれた。
このような事件は、裏半球では日常茶飯事のように起きている。
僕はますます月奈が裏半球で生活するのは危険だと感じた。
最初のコメントを投稿しよう!