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クリスマスの朝。今日は遅番で、モーニングを食べにマスターのところへ行った。ドアを開けると、店内にカランコロンと綺麗な鐘の音が響く。
「いらっしゃいませ」
年が明けると‘‘猿島さん’’になる石岡さんが、かわいらしい笑顔で迎えてくれた。オレは、軽く会釈をしていつものカウンター席に座った。座ると、何も言わなくてもマスターがモーニングの準備を始めた。
「お待たせしました」
「あ、どうも」
少し厚めのトースト、千切りキャベツがタップリ添えられたハムエッグ、そしてコーヒー。アツアツのトーストを頬張る。
「昨日休みやったから、次は二十七日が休み?」
うちの会社は、だいたい二日出勤して一日休み。マスターは、常連客であるオレの休みをだいたいわかっていた。
「うん。それがなにか?」
「古河さん、ひとりぼっちや~とか言ってたから、ええ娘、紹介しようかと思って」
「オレ、夜の街にはあんまり行かんから」
「いやいや! そんなんやないよ? 愛美の幼なじみ」
苦笑いをするオレに、マスターは慌てて言った。
「石岡さんの?」
「うん。アイツが妹みたいにかわいがっている娘や」
「オレなんかで、ええんかな?」
「まぁ、そんなに気負わんでも。女友達増やすみたいな感じでいいよ」
女の子を紹介してもらえるやなんて。照れくさくて慌ててコーヒーをすすった。
「アチチッ!」
「わっ! 大丈夫?」
マスターがおしぼりを渡してくれた。お礼を言ってそれを受け取った。
「それで、二十七日の夜に一緒に食事でもどうかと思ってね」
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