古河秀明の恋 ①

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 クリスマスの朝。今日は遅番で、モーニングを食べにマスターのところへ行った。ドアを開けると、店内にカランコロンと綺麗な鐘の音が響く。 「いらっしゃいませ」  年が明けると‘‘猿島さん’’になる石岡さんが、かわいらしい笑顔で迎えてくれた。オレは、軽く会釈をしていつものカウンター席に座った。座ると、何も言わなくてもマスターがモーニングの準備を始めた。 「お待たせしました」 「あ、どうも」  少し厚めのトースト、千切りキャベツがタップリ添えられたハムエッグ、そしてコーヒー。アツアツのトーストを頬張る。 「昨日休みやったから、次は二十七日が休み?」  うちの会社は、だいたい二日出勤して一日休み。マスターは、常連客であるオレの休みをだいたいわかっていた。 「うん。それがなにか?」 「古河さん、ひとりぼっちや~とか言ってたから、ええ()、紹介しようかと思って」 「オレ、夜の街にはあんまり行かんから」 「いやいや! そんなんやないよ? 愛美の幼なじみ」  苦笑いをするオレに、マスターは慌てて言った。 「石岡さんの?」 「うん。アイツが妹みたいにかわいがっている娘や」 「オレなんかで、ええんかな?」 「まぁ、そんなに気負わんでも。女友達増やすみたいな感じでいいよ」  女の子を紹介してもらえるやなんて。照れくさくて慌ててコーヒーをすすった。 「アチチッ!」 「わっ! 大丈夫?」  マスターがおしぼりを渡してくれた。お礼を言ってそれを受け取った。 「それで、二十七日の夜に一緒に食事でもどうかと思ってね」
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