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【2章】2 冒険者側の問題点
「アッキー知り合いなの?」
「昨日会ったばかりで殆ど会話もしてないけどな」
昨日まで (仮)付きだった同じ招集者が出ている動画をお互いに流しながら会話をする。
最初はニュースかと思ったけどチャラ男しか出てこずアカウントはどう見ても個人アカウントだ。
昨日沈まされてたのにその後に撮ったのか……
「この動画ってホントの話?」
「……対処した人物を俺にすれば99%本当の話だ」
「1%落ちてるのはどこ?」
「俺はベアキラーと名乗ってない!」
間違いなく全ての元凶はチャラ男だ。
他の部分については起きた後に陸自の誰かに聞いたんだろう。
…………いや、一緒のペアになっていた女性招集者か。
ダンジョン行く前に陸自全員から拒否られてたから、説明してくれるような人はいないだろう。
動画を見て、ベアキラー問題の疑問は解消されたが新たな疑問が出るのでL〇NEに流す。
アッキー: どうして俺の方に連絡が来たんですか?
ツクツク: 確かにアッキーに電話が来るのはおかしいよね
タツ: それは……こっちの問題です
タツ: 情報が地域ごとじゃなくて全国で一括の共有管理になってしまっているんです
タツ: タイチョーが記録した情報に【クマ討伐】って書いたのはホスト崩れではなくてアッキーさんになので、そこから全部辿られたと……
アッキー: 国が責任を引き受ける形にしたからですか?
タツ: そうです 人命の被害が出た際の責任追及よりマシと判断したのでしょう
なるほど、今回のありえない程早い対応はそこにあるのか……
ていうかチャラ男ホント嫌われてるな。
タマ: 取り合えず今余罪確認でタイチョーが尋問してます
タツ: 何もなくてもアレだけは24H監視体制になるかもな
タマ: なるでしょ……それもそれで嫌だけど
24H監視ならもういっそ陸自で教育してくれないかという言葉が頭をよぎったが、そんな余裕もないだろうし先に隊員たちが参りそうなので自重した。
タマ: あ! ダンジョンに放り込んで出禁とかいいんじゃない?
タツ: タマ天才!!
………………かなり笑えない発言が出てるのでこれ以上押し付けてはいけない。
他に隊員も賛成しまくってるし。
入口付近に姿が見えたら威嚇射撃という話が出てきてるのはまずいと思う。
誤って俺たちに対して発砲してこないかという意味で。
取り合えず疑問は解消できたのでL〇NEからは離れて食事に戻る。
昨日からドタバタしていて気づかなかったけれど重大な問題に気づく。
「暇だ……」
そう暇すぎる事が問題となった。
異世界転生するレベルのブラック企業勤めからすると刺されかねない発言だが、体がまともに動かせない休暇は想像以上にツライ。
昨日からドタバタ続きだったせいで、このことに中々気づく事ができなかった。
病気等で頭に余裕がない時は睡眠をとって治すという事を行うので暇だとは感じない。
しかし、病気でもなくただ単に動けないだけというのはかなりツライ。
スマートフォンでも手軽に楽しめるWEB小説でも読もうと思ったのだけれど、どうにも気が向かない。
さて、どうしたものか……
こういう時に話し相手になってくれるのが世話してくれてる月夜だ。
だが残念ながら月夜はというと食材の買い出しに行っている。
昨日の残りで肉だけは大量にあるが、それ以外はあまりない。
俺たちも30半ばなのでさすがに健康に気を使いたいと思う。
気持ち的には肉ばかりでもいいが、現実問題それだけでは健康診断で絶望してしまう事になる。
自分が好きな物を好きなだけ食べても問題ないのは、輝かしい青春という黄金時代のみに許された特権だ。
年齢の事を考えてても憂鬱になるので意識を昨日のダンジョンの事に戻す。
チラッと見せてもらえたけれど冒険者カード自体もどうなっているのかよく分かってない。
1日経った今、昨日よりは更に分かっている事だろう。
L〇NEで聞けば誰か回答をくれるかもしれないが、それは俺が特例的に陸自と交流を持てたからだ。
招集者……いやもう皆は冒険者になっているか。
俺たち個人としては現状自分の体験以上の情報を得ることが不可能となっているのが問題だ。
ゲームであれば攻略サイトや公式の攻略本がある。
情報を遮断してやるタイプもいるがあくまで選択肢があった上でその形を選んでいる。
しかし現在は選択肢がなく、全員が強制的にチュートリアルなし攻略情報なしのハードモードをプレイしている状態だ。
更にHP0が教会送りで前回の反省をする……ということが可能かどうか分からない。
冒険者カードの登場でゲームっぽさは出てきたが、HP0=リアル死亡という可能性がある以上、知れるだけの情報は知っておきたいのが大部分の気持ちだろう。
死にたくないし。
今は陸自が情報を出してくれるかもしれないが、冒険者主体となった場合には共有してくれる人がいなくなり、無知な為に死亡という事が発生しかねない。
自分の為にも冒険者間での情報共有の仕組みというのは急務だな。
地域の垣根を超えて、少なくとも全国単位で共有できるようにしたい。
「……というわけで、その辺りの整備をして欲しいなと思ってるんだけど」
アレコレと思案している間に帰ってきた月夜に聞いてみることにした。
月夜はフゥムという顔をしている。
「……確かに検索してもまともな情報出てこないだろうし必要性はあるわね。 それを私に言うって言う事は、そう言う事?」
「できればそっちで作ってくれないかなぁっと思ってる。 サンプルとしては俺がいるわけだから、他が作るよりは現場に即したものにできると思うし」
「私たちとしても他所にやられて適当な形にされたくないわね。 アッキーが関係してるし」
なんだかんだ言っても友情っていい物だね。
学生時代の友人は一生ものというのは本当だと感じる。
おまけで呪いも一生ものな気がするけど……
「一番の問題は公的機関に許可取り付ける部分かな。 国策なわけだしこの部分が大変そう。 ここの陸自には好かれてるけど、上層部まで顔が利くわけじゃないだろうし……」
「確かにそうだよなぁ」
「アッキー簡単な資料作れる? ざっくりしたモノでいいんだけど」
「手がまともに動かせないから今無理……」
「資料を書くのは私がやるから、アッキーはどう書くか言ってくれるだけでいいわ。 二人も呼んで可能性あるか話してみるのが早くない?」
「確かに」
取り合えずのやる事ができたので、月夜にスケジュール調整をしてもらうと1時間後からならいつでも良いと言ってきたらしい。
その1時間って出かける準備と移動時間だろ……
二人が現実逃避したい事が伝わってくる回答だった。
流石に1時間では資料作れないから明後日にしてもらう。
ついでに肉の消費を手伝ってもらおう。
現状肉だけで冷蔵庫が埋まってるので月夜に買ってきてもらったのも冷蔵食品は一切ない。
ピンポーン
日光の色がに赤から夜に変わるような時刻になると、鳴らないはずのインターホンが来往者を告げる。
昨日に続き連続の訪問者である。
昨日何か通販で買ったか?
NO!
そんな心境でなかったので通販サイトを開いてすらない。
まさか動画関連で直接言いに来たんじゃないだろうな……?
「地元の市役所から人が来たみたい」
応答してくれた月夜が答える。
そもそも地元ってつくのがおかしい気もするけど、勧誘ではなさそうだ。
陸自から今日でない理由は連絡いってるはずだけど、何かあるんだろうか?
直接俺に会いたいという言っているようなので、月夜に移動に時間がかかる旨を伝えてもらう。
誰が来てるか分からないけど、行くのが遅くなってドア壊されたくないしね……
うん、なんで取り立てじゃないのにこんな不安を持たないといけないんだろう。
なんとか玄関まで月夜にサポートしてもらって辿り着きドアを開け
「申し訳ございませんでした!!!!!!!!!」
ると、ジャンピング土下座をし腕は上方に掲げられ、その手には菓子折りが載せられている男性がいた。
リアルで初めてみたわ……
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