【4章】4 ダンジョン対策会議1(ダンジョンの件)

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【4章】4 ダンジョン対策会議1(ダンジョンの件)

「それじゃ、本題のダンジョンの事だけど」 PTの事は話がついたので、元々の会議の内容に移る。 「アッキー、何か分かったのか?」 「茶楽からもちょっと聞いてるけど、ダンジョン内が変わると前日にあったものが消えるという認識は合ってる?」 「私達の目でも確認してるけど、それは合ってるかな」 「それじゃ同じダンジョンが出てるかどうかは?」 「それっぽいのがあるらしいけど、断定はできてない」 最近では一番ダンジョン探索経験がある宮川樹里香と村上紗季に視線を向ける。 2人はこれまでの探索を思い返すように目を閉じ、考えがまとまったところで口を開く。 「ボクの勘的には同じダンジョンあったと思うんだけど……」 「確証を求められると難しいです。 ダンジョン内に薬莢を置き始めてからはまだ同じと思うダンジョン表れてないですし」 「なるほど」 「俺たちはアッキーが何を調べる為に、ダンジョン内に物を置くように依頼してきたのか分かってないんだが……何を調べようと思ってるんだ?」 「確かな事じゃないんだけど、ダンジョンとして考えられる事の1つはゲームであるダンジョンのランダム生成と考えている」 当初の説明を聞いた時からこの可能性は考えていた。 しかし、ダンジョンの話を聞いて行くと徐々に考え直していく事になった。 「だから、物を置いて翌日以降に残るか見ていたって事?」 「そう言う事だけど、今の俺はこの可能性は低いと考えてる」 「なんで?」 「ランダムダンジョンだとして、1日で消えるとか無理だろ。 ダンジョンが遷移するだけならいいけど、物が消えるならその可能性はない。 内部に残れないなら死んでしまう。 そうなると何階層もあるだろうダンジョンの攻略を、1日のタイムアタックとかありえない」 「ボクはゲームとかよく知らないけど、そういうものができちゃった可能性は?」 「超現象が突然発生したという事がありえないことはないけど、称号に笑とかつくのはさすがに人為的に行われた事だと考えている」 俺が暗に示した称号を持っている茶楽に全員の視線が集まり、なんとなくそうだよなという雰囲気になる。 当の茶楽は嫌そうな顔していて、全員が納得した顔したときに隣にいる俺を軽く小突く。 「なので想定していたもう一つの可能性が今は高いと思ってる。 それはとなっている事だ」 「「「「はい?」」」」 俺が本命の理論を提唱したところ、ほぼ全員から「何言ってんだコイツ」的な顔をされる。 ある程度想定してたけど、地味に傷つくな…… 俺と同じようにサブカル方面に理解があるタツだけは、俺の言った事を咀嚼しているのか難しい顔をしている。 たまに口元が動いているので独り言を言っているのだろうけど、近くにいるタイチョーとタマが気味悪そうな顔している。 「……完全にピンとは来てないけど、ゲームとかであるワープゲート専用の神殿とかが今のダンジョンって事?」 「スッゴイ雑に言うとそんな所だと俺は思ってる」 「いやそれだと、ダンジョンどこと繋がってんの? 繋がるなら他の出口もあっていいと思うんだけど」 「正確にはダンジョンの地下1階と地下2階以降は分けて考えるべきだと思ってる。 地下1階は入り口で、地下2階以降はどこかの異次元に繋がっている。その特定の異次元が特定の規則で繋がっている」 「定義はなんとなく分かった気がするけど、現状と重ね合わせができてない……」 「例えばAという異次元が俺たちのダンジョンで今日出ていて俺たちがダンジョン内に残留したとする。 同日にA県にはBという異次元が出ていて、翌日になると接続先が変わる。 俺たちのダンジョンはCという異次元に接続し、A県のダンジョンはAという異次元に接続する。 そうするとダンジョンに入っていた俺たちが元の入り口から外に出るとA県のダンジョンに辿り着くという感じ」 実際自分が分かり切ってない事なので、人に説明するのが難しい。 何度かタツが俺に質問して、考えを紙に書いてようやくイメージの合意を得ることができる。 共通理解ができるものが無いと難しいんだなと実感する。 他の面々も俺たちが作った図を見てなんとなくイメージがついた人とそれでも分からない人で分かれた。 分からないのは感覚型の人で途中から思考を放棄したきらいがあるけど…… 「なんとなく分かった、それでアッキーは同じダンジョンが出たかを気にしてるんだな」 「そういうことだけど、あくまで俺の考えで本当に繋がっているかは分からないので実証するにはリスクがあるけど、俺の考え的にはそうなってる。 後チェックして欲しいのが潜った人物意外が出てこないのかという事と、こちらとコミュニケーションを取ろうとしているモンスターや亜人が出てこないかという事」 「つまり、それがダンジョンで繋がった先の存在の可能性があるという事?」 「そう、その辺りを下手に攻撃すると全面的な敵対行動になりかねない。 繋がるという事は攻められるリスクがあるんだから、避けられるリスクは避けておくべきだと思う」 一気に話したので、それぞれ頭の整理をつける為に少し休憩にする。 来るときに (ユウのカードで)買ってきた高級プリンとシュークリームで疲れた頭を癒しながら皆で談笑も交える。 独断で買ってるけど、そもそも俺に現金は無いのでこうする他はない! 皆が食べ終える頃にタツが再度ダンジョンの話に戻す。 「それで、ダンジョンの目的としてはポータル的な役割のみを担ってるって事?」 「そこは俺にも分からない。 ダンジョンの管理者的な人物……かどうかわからないけどなにかしらの存在はいるわけだから、狙いは何かあるはず。 それを知るには最下層を目指すしかないと思うがそれも日付を超えるというリスクが必要になる」 「じゃあ、今のところは防衛しながらダンジョンの戦意を調べ、戦力強化をするというのが目標かな?」 「それでいいと俺は思う」 「伝えて良いか?」 「アッキー、この話をダンジョン前で張っている面々や上に伝えてさせてくれないか? 知っておくべき事だと思う」 「間違っている可能性がある事も踏まえてならいいよ」 陸自の3人は感謝しながら、忘れないうちにと今の話をまとめに入っている。 後に俺の考えについては、アキヒコレポートやベアキラーレポートと呼ばれ現場では大いに感謝されるが、褒章などは振込なので俺には1銭も入る事はない。 「ところで、俺は考える事に向いていると思うので今回の話にあるような日付を跨ぐようなリスクのある行動は、俺たちのPTには向いてない任務だよな?」 「「「全国的な有望PTがそんなわけないだろ!?」」」 ……貢献をアピールしてなるべくリスクを回避しようとしたけれど、速攻で跳ねのけられる 全国的に俺の実力を勘違いしすぎなんじゃないだろうか ただの元プロ自宅警備員だよ?

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