第一章 星屑集め

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 リシュカは落とされないように身を屈めてしっかりとしがみついていた。髪に絡みついた葉っぱや小枝は風にさらわれ、マントも飛ばされてしまいそうだった。  耳元で風が笑うようにうなり声をあげる。  晩春の夜風はまだ身を切るように冷たく、箒を握る手がかじかんでしまう。  ――手袋をちゃんとはめてこればよかった。  そう後悔したとき、ふわりと体が浮いた。  箒が岬の先端に到着したようだった。  箒はぐるりと宙返りをして停止する。リシュカは慣れた様子でひらりと地面に飛び降りた。  そして、空を見上げる。  すでに星々はシャワーのように降り注いでいた。  白や黄色、時々、赤い光りが弧を描いて落ちてくる。  季節外れの流星群なのに、いつもよりも輝きが増しているように見えるのは気のせいだろうか?  まもなく夏が来ようというこの季節にこんなにも星のきらめきが明るいなんて珍しい。それに今夜は一段と流れ星の数も多いようだ。  しかし、その美しい光景に見とれている暇はなかった。  リシュカは箒を逆さまに持つと頭上高くにかかげた。そして、 「アステライット!」  と叫んで、夜空を箒で掃いたのだ。
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