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高校1年の終わりに、2年からの文系理系の選択があった。
家づくりへの道を実現するには理系に進んで建築科を受験することになる。数学は苦手だが何とかなると思い、理系を選んだ。
すると当時の担任の梅村先生に呼び出された。先生は英語の担当で、発音を強調する時にできるえくぼがキュートだ。去年結婚したので、密かに失恋した男子多数。
「安堂さん、確認だけど文理の選択を間違えてない?」
「どうしてですか? 理系で間違いないです」
「んー、数学の成績を見る限りでは、得意でないよね」
「えっと、はい。数学は苦手ですけど、理科の科目はまともな点数だし、私、どうしても理系に行きたいんです」
家づくりを志したきっかけを話したが、先生は難色を示した。それでもここは、私の人生の中で、大事な踏ん張りどころなのだと自覚した。
「先生、絶対、家づくりがしたいんです」
今どき、将来の希望が言えない生徒ばかりの中、はっきり言えるのはいいことだ、と先生は希望を聞いてくれた。
「2年からも藍ちゃんと同じ理系だよ。クラスは同じになるかわからないけど」
藍ちゃんは数学が得意で、いつも教えてもらっていた。
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