蓮の音 - はすのね -

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梅雨明け間近と言われて、どれくらいたつかな。  今日も一日、雨が降ったり止んだりのはっきりしない天気だった。 前線が日本列島に居座っている。そう聞くといつも、大きな龍が長々と横たわっている姿をイメージする。昔から龍神が雨を司っていると言われるから、私の感覚は強ち外れていないと思う。    梅雨の終わりだからか、各地で大雨が降る。 『今までに経験したことのない大雨』  天気予報では、そんな表現をする。誰も経験したことがないくらい、ひどいってこと?  うちのばあちゃんがよく言う。 「今まで、ほんなことなったことないわあ」 「えー、忘れてるだけでないの?」  確かにゲリラ豪雨は地球温暖化が原因しているから、バケツをひっくり返したような雨なんて、昔は降らなかったかもしれないけど。  人によって、経験値は違う。  それなのに『経験したことのない大雨』って基準にするなんて、大雑把すぎないか? でも1人1人のレベルは違ったとしても、その目盛りの振りきれた先って想像すればいいのか。  経験することは、大事。自分の五感で感じ取ったものは、記憶に残る。 私は本で読んだりネットで検索しても、自分の目で見ないと落ち着かない。納得しない。  私の十八年間は、私が経験してきた私のもの。  かけがえのない、私の宝物だ。    
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