蓮の音 - はすのね -

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 どしゃ降りの大雨だったのに降り尽くしたのか、いきなり勢いを失ってきた。辺りには少し明るさが戻った。  龍神も思いっきり泣いたら気分が晴れたんだね。  世界は全部、夕焼け色に染まる。まるでオレンジジュースの中に浸っているみたいだ。向こうが透けて見えるから、果汁三パーセントくらいか。  そこに突如、出現したものがあった。光る柱が、東の空に立っている。  あれは……何?   認識するのに、数秒かかった。夢のような異様な光景に心をつかまれる。  それは虹の根元だった。けれど空が夕焼け色だからか、7色ではない。オレンジと黄金の2色だけで光っている。  私は誰かといっしょに見て、この驚きを分かち合いたかった。 「ねえ、あれ見て」  向こうにいる柿沢くんに声をかける。スマートフォンを触っていた彼は、私が指差す方をまじまじと見てぽかんと口を開けた。  虹の先は、空に溶け込んでいる。  休憩所から外に飛び出す。スマートフォンで写真を撮るけれど、虹の色味が目で見ているようには写らない。  柿沢くんは自分のリュックから何かを取り出す。カメラだった。構えてチェックすると、連写している。
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