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朝、遅刻しそうになると、よくじいちゃんに車で送ってもらう。けれど近頃は、体調が思わしくなくて運転を控えている。なのに迎えにいくと言い出して、ばあちゃんが止めていたのだろう。間一髪、セーフだ。
「ごめん、電話せんで。雨宿りしてた。さあ、もう中入ろ」
二人の背中を押して、家に入った。
わが家は私が小学6年の時に建て替えをした。注文住宅だったので、私も家づくりの仲間に入れてもらえたのが嬉しかった。
2階にもリビングがあったらいいねと言うと、ちゃんと設計図がその通りに描き替えられた。夢が目に見える形で具体的になっていく様子は、心が躍った。
「はす音の部屋は、自分で決めていいよ」
「ほんとに?」
サンプルの分厚い冊子を何度もめくり、壁紙や床材を選んだ。
建ち上がって、まだ家具が入ってない自分の部屋に入った時は感激した。
大きな葉っぱ柄のカーテン。明るい茶色の床に壁紙は白地にオレンジ色のペンシルストライプ。みんな私が好きで選んだ色味だった。当然、私のお気に入りの場所になった。
将来の道を考える時、その時の感激がいつまでも花開いていた。私は自然と、家づくりがしたいと思うようになった。
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