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老人は読んでいた本を閉じた。
「おじちゃん!僕ね、この勇者になりたい!いつか魔王を倒せるくらい強くなるの!」
「ははっ!ナルはもう十分強いのぉ。けど・・・この話には裏があってのぉ。勇者様の隣にはもう1人ヒューマンが居たんじゃよ。そのヒューマンはナルと同じ目をしていた。」
老人はシワシワになった手でキラキラと好奇心溢れる男の子の頭を撫でる。
「僕と同じ目?・・・もしかしてその人もこのふわふわした精霊達が見えるの?」
「そうじゃ・・・永遠の魔力。周りの精霊から魔力を貰い、またその魔力を勇者達に力として与えていた。」
「じゃあこの精霊の声も聞こえてたのかな。こんな悲しそうな声・・・。」
大きな瞳が少し潤む。
「精霊が騒いでいるという事は災いが近いのかもしれんな。ナル、よく聞くのじゃ。精霊は普通だれでも見ること、言葉を聞き会話する事は出来ない。だからナルは特別なんじゃ。けどな、それを無闇矢鱈に口にするんでないぞ。」
「なんで??」
「この世には悪い人もおる。ナルのその特別な力で悪い企みをする輩もおるんじゃ。だからもしナル、魔法を使うなら精霊に頼らず自分の魔力のみを使いなさい。」
そういって老人は優しく微笑みながら瑠璃色のペンダントを男の子に付けてあげた。
゛その力を隠して普通のヒューマンとして平和の中で幸せに暮らしなさい゛
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