8.

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9月に入り、いよいよ秋の大会開幕が3日後に迫っていた。 「あー、針に糸通んねー」 「5番の方が縫いやすそう」 「関係ないだろ」 俺たち3人は志築の部屋に集まり、背番号の縫い付け作業をしていた。 佐野は4、志築は5、俺は6。 一応、背番号争いは平穏な形で終結した訳で。 「何で明希ちゃんに好きって言わねーんだよ」 「大会が終わったら」 「……否定しないのな」 結局、明希は大会中は下宿に残ってくれることになった。きっかけを作ってやったのに、と喚く佐野と目を合わせもせず、俺は黙々と糸を結んだ。微笑む志築の目が、優しかった。 「感情に流されることにした。やっぱ安心感、なのかな」 俺は完成した背番号付きユニホームに袖を通した。 ――早く、食堂まで見せに行こう。 「好きも嫌いも、あいつの味だから」 (了)
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