好きも嫌いもきみの味

６.

改革は極めて基本的な方法だった。

まず、補食にしていた菓子パン２個＋サイダーをやめること。おにぎり３個とプロセスチーズ＋100％オレンジジュースに変え、おにぎりの具材も鮭や昆布にしてみた。

それから、好き嫌いせずに、練習量に見合う量をきちんと食べること（菓子パンは引退後の楽しみとする）。食わず嫌いだった野菜のおいしさに気付いたおかげか、その分おかずを食べる量も増えた。ご飯のどんぶりも１杯から２杯に増え、３杯平らげる日もあった。

ボリューム重視の美智子さんに対し、明希は栄養が最優先だった。早朝の台所で、献立を考えたりコンビニ飯を補食に利用する場合の注意点を教えたりし てくれた。

体重は変わらなかったけれど、２週間も経つとさっそく体調に変化が表れた。

疲れが残らない。怪我しない。集中できる。
誰よりもこの変わり様を喜んでくれたのは、明希だった。