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奇妙に思ってそれぞれ目撃談を口にしたところ、さらに不思議なことが分かりました。ガラスがカタカタと揺れる現象は、雪見障子だけではなかったのです。
ある日は、茶箪笥にある見せ戸棚の左側だけが。
つぎの日は、右側だけが。
さらに明くる日は、その部屋から渡り廊に出るまでの風取り窓だけが。
さらに翌日は、前日に鳴った窓の、となりの窓が。
カタカタ、カタカタと音を立てて、日ごとに家のなかを進んで来るのでした。
手探りで歩いてくるような現象に、わたしと妹は「カタカタさん」と名付けました。
カタカタさんは、ガラスを鳴らす他に異変は起こさなかったので、怖くはありませんでした。
漠然と、出口を探し当てたら家から出て行ってくれるだろうと思っていたのです。
カタカタさんは離れから奥の間に、そこから二階に上って一階に戻り、キッチンの食器棚を鳴らすようになりました。
そんなある冬の夜。
わたしは受験勉強のため、自室で数学の問題集を開いていました。
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