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まこの決心
まこは、決めたのだ。もう、自分の分の、ごはんしか作らないと。
「私は、あなたのお母さんではありませんからね。」と、王子に言い放って。
ドロシーは、オロオロしている。
「私、ごはんを作ったこと、ないの。だって、ごはんは、街で買えるもの。わざわざ作る人がいるのに、どうして、自分で作る必要があるの?」
「なら、買ってくればいいじゃない?」と、あたりまえのことを、紅子も、冷たく突き放すように言った。「買い食いしたら、すぐお金はなくなるわ。」
まこは、ドロシーと王子を虐めるつもりはなかったけれど、はっきりさせておきたいと思い、
「いい? 共同生活は、誰かひとりが、負担するものではないし、それができないのなら、自立してもらわないとね。これから結婚するお2人さんは、自分たちの生活として、私に一切、頼るのは、やめてもらいたいの。」
こうしてまこは、いつのまにか、押しつけられていた、「ごはんを作る係」を返上したのだ。紅子も、自分の食事は自分で作ると、言ってくれた。
王子はというと……。
ドロシーのことで頭がいっぱいだった子どもじみた王子も、これは一大事だと察したのか、無言で、何も言わなかった。
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