異聞 哀愁セレナード

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 ショウも外山の背中に腕を回している。  (いと)おしむような、優しい抱擁だった。  「好きだったの……ずっと」  「うん……何よりも大事にする」  アキラは素早く通路の陰に身を隠し、耳だけでそのやり取りを聞いた。  「じゃあ、また後で連絡する」  外山は帰ったようだ。  ショウの足音が近づいてくる。  「アキラ? なんでこんなところに立っているの?」  ショウは微笑んで誤魔化しているようだが、焦っているのが見え見えだった。外山とのワンシーンを見られたかもしれないと思っているのだろう。
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