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10年前をひと昔というのなら、この物語は3昔と言わなければならないだろう。
まだ小学生だった私は田舎町に住んでいた。日本がバブルに沸いて、ちょうど空いた土地があったものだから、そこに集合住宅を作りましたという雰囲気の団地に家があったため、少し足を延ばせば雑木林や田園が姿を見せた。
まだ小学生になって1年や2年の子供にとって、その雑木林はまさしくダンジョンだった。実際に、勇ましい近所の同級生たちが捕まえた蛇を透明なケースに入れ、意気揚々と自慢してきたこともある。
私自身、虫取りに行った時に、スズメバチと出くわしたり、土を掘っていたら大ミミズやコガネムシの幼虫が出てきたり、木の枝の隙間に野生のゴキブリが潜んでいるところを見つけたりと、この雑木林には様々な勉強をさせてもらった。学校の先生が公の先生なら、この雑木林は私的な先生…いうなれば家庭教師だったのだろう。
そんな小学校3年生になったある日、近所に住む友達、二川君が言った。
「知ってるか? タイムトンネルって日暮れ後に行くと、そのまま時間がおかしくなって…数年後か、下手したら十数年後にタイムスリップしてしまうんだってさ」
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