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私は再び振り返った。もはや夕闇も赤い色から、青く暗い姿へと赤い化粧を洗い流そうとしている。だけど、やっぱり500円玉は惜しい。それもレアコイン!
その足が一歩ずつ、真っ暗な闇の中へと踏み込んでいくと、辺りが意外と見えることに気が付いた。
夜に目が慣れてきたのだろう。わずかな光しかなくても木がどこにあるのか、どこからが赤土なのか見当がつく。とても不思議な感覚だ。
これは思わぬラッキーだったが、これでも地面に落ちた硬貨を見つけるのは至難の業だ。だとしたら、落ちた場所を予想するしかない。
ポケットに穴が開いているわけではないのだから、落ちているとしたらガムを手に取ったときだろう。だとしたらタイムトンネルの出口。私はじっと向こう側だけを睨むと、何かの羽音が聞こえてきた。
一瞬ドキッとしたが、ただの蚊だと思うと憎たらしく思えた。パチンと両手を合わせると、つぶれたのか、はたまた逃げ帰ったのか、少しだけ静かになったが、反対側の耳に別の蚊の羽音が聞こえてきた。
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