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普段臆病な私にとって、この状況は限界を超えてしまったのだろう。もはや恐怖という感情がどこかにお散歩してしまった。毒を食らわば皿までという、実に便利な言葉まで思い出し、私は500円玉をポケットに戻すと、意気揚々とタイムトンネルを引き返し始めた。
うん、どうせタイムスリップするなら、アメリカとか、オキナワとか、ウチュウステーションとか、そういうところまで行っちゃおうかな。うん。
…そんなノリだったと思う。もはや完全に開き直った私は、鼻歌を歌いながら子供にとっては死ぬほど怖い、夜のタイムトンネルを闊歩した。
完全に頭のねじが飛んだ私は、近寄ってきた蚊も容赦なく叩き潰しにかかった。当たろうが外れようが関係ない。パチンと蚊を迎撃する私の両手はまさに艦砲射撃を繰り出す砲身のようだ。ちょうど家にあってハマっているシューティングゲームよろしく、私は無数の艦砲射撃を蚊の大群に向けて撃ち放っている。
自分の今の姿こそ、近づいてくる海賊を撃墜する、宇宙戦艦のようだなどと思いながら、何気なく横を向いたとき、私は歩みを止めた。
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