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星月夜の川で
雲一つない満月を見ると必ず思い出す。
学生時代のボクの青春。
あれからどうなったのかは明確に覚えてはいないけれど、彼女とは何もなかったことだけは覚えている。
学校を卒業し、就職して随分と時間が経った。
今思うとあんなにも積極的なアプローチを受けたのは、後にも先にもあの時だけだ。
強烈に脳裏に焼き付いて、満月を見る度に思い出が再生される。
もしあそこで、逃げずにちゃんと彼女と向き合えていたら今とは違った未来があったのかもしれない。
橋もビルも河原も学生時代から変わっていない道を通って家へと帰る。
「今から、遊びに行っていい?」
不意に思い出と同じ声がボクの耳に届いた。
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