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夕日の川で
「今から、遊びに行っていい?」
部活帰り道で突然、声をかけられてボクは驚いた。
遠くにある橋の隙間から見える高層マンションの隙間から、沈みかけた太陽の光が覗く。
「え、あ……」
同意とも否定とも取れない曖昧な反応しかできないボクに構わず、彼女はそのまま部屋へやって来た。
彼女がボクの部屋に来たのは初めてだし、そもそも何を話していいのか全然わからない。
間が持たず、コチコチと時計の音だけが部屋に響く。
「突然、どうしたの。ボクと何か話したいことがあるのかな。それにしても11月にしては寒い日が続くけど、たまに暖かい日もあって困っちゃうよね」
と、会話の糸口を掴む練習を心の中でしていると、彼女はスッと立ち上がった。
沈黙が続き、怒らせてしまったかなと思っていると、換気のために開けた窓へ近づき遠くを眺める。
「とっても月が綺麗だよ。一緒に見よ?」
いつの間にか空は夕方から夜へと姿を変えていた。
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