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その喫茶店には、週に二日程度で通っている。
ほぼ道楽といって差し支えない程度の客の入り。メニューは外から見えるよう窓に張り付けてはいるものの、実際は無いに等しい。というのも、店主は齢八十に届いていそうな女性が一人。年齢が年齢ということもあり、手間の掛かるメニューは調理ができないのと、人が来すぎても回らないのだ。だから僕は人に勧めることもしない。常連だけで構成されている、秘密の喫茶店である。
開店時間は午後からだがまちまちで、行って開いていなかったらやっていない、開いていたらやっている。たちが悪いのは入り口に掛かっているオープン、クローズの掛札が仕事をしていないことがままあることだ。通りかかっただけではわからず、一旦駐車場に車を止めて、入り口まで確認に行く必要がある。
店内は大体誰もいない。いないというのは客がではなく、店主さえいないのだ。僕はカウンター一番手前の席に腰掛け、スマートフォンを触りながらしばらく待つ。昼間でもどちらかといえば暗い店内は、電球色の照明で全体的にふわふわとした感覚に陥る。
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