短編

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 薄々気付いてはいる。このコーヒーが飲める回数も、確実に少なくなっているのだ。  あと五年は飲めるかもしれないし、もしかしたら来年までかもしれない。はたまた来週なんてこともあり得ると言えばあり得る。  熱いコーヒーが喉を通る。僕にはコーヒーの美味しい、不味いの違いはわからない。しかしこうして通っているということは、自分の舌には合っているということだ。そう、僕にはこのコーヒーはとても美味しく感じられる。  ゆっくり、ゆっくりと。静かに流れる川のような時間。  この人が死んだら、きっと泣くんだろうなぁ。  そう思うのだ。 おわり
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