片道切符

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スマホを閉じるとき、ふと、ホーム画面にポップアップされたニュース速報が目に入る。 【一条ホテルグループ社長、知人女性に首を絞められ殺害。女性は犯行後、自殺か。支援施設から一時帰宅中の出来事】 アップされたのは、今から二時間前。私は画面と水樹さんを交互に見た。 「水樹さん……」 彼は私の表情の移り変わりにフッと笑みを落とし、立ち上がる。 「光莉。俺と結婚しない?」 風があたたかい。音もない。頭の整理がつかず呆然としたが、私はふと、そばに佇む母を見た。彼も私にならい、墓石を見る。 「もう、今日以上にいい日取りはないと思うんだ」 それは彼の本心だろう。私はうなずく。 「一緒に生きていくってことですか」 「そうだな。それもあるけど。母さんは望み通りあの人と逝ったらしい。俺はそこへは行きたくないんだ。このまま光莉と一緒に死んでも、俺たちは離ればなれになるだろ」 「……はい」 「俺を雪永にしてほしい」
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