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「グオアアアァァァ!!」
咆哮を上げ、デモニックビーストと化したレインがレッドアイ達に対して更なる猛攻を仕掛けて行く。
レッドアイからの指示を受けた魔物達がまだ生き残っている他の者達への攻撃を中断し、一斉にレインに向かって襲い掛かって来るが、彼はその圧倒的パワーを以てそれら全てを強引にねじ伏せていく。
鞭のようにしならせ、振り回した尻尾で敵を吹き飛ばし、その巨大な腕と全体重で相手を叩き潰し、角で突き殺す。
巨大化した分スピードは元の状態よりもやや落ちるが、それでも彼には他を寄せ付けない程の圧倒的なパワーと耐久力がある。
次々に消滅させられていく魔物達を前に、遂にレッドアイが自ら動き出す。
自分の周囲に待機させておいた二体の魔物の内の一体を鷲掴みにし、それを迫って来るレインに向かって勢い良く投げ付ける。
そして更にその背後から魔力を集中させ、大きく口を開けると、風属性初級魔法のエアーインパクトを連続で放ってきた。
使用者の魔力によって圧縮された空気の弾丸を飛ばす攻撃魔法だ。
今のレインは動きが遅い。
エアーインパクトの攻撃を避けようとすればその隙を投げ付けられた魔物によって突かれ、逆に魔物を排除しようとすればその背後から迫って来る無数のエアーインパクトに体を貫かれる事になる。
どちらにしても巨大化した事でスピードが落ちている今のレインにこれをかわす余裕は無い。
当然どちらの攻撃にもレッドアイによって通常以上の魔力が練り込まれており、レインがダメージを負う事は避けられない筈だった。
しかし、彼の力はその上を行っていたのだ。
「グガアアアァァァ!!」
その咆哮と共に大きく口を開けると、迫り来る魔物の体に噛み付き、その動きを封じる。
そしてその後、無数のエアーインパクトがレインの体に襲い掛かり、いくつもの爆音と爆風が巻き起こる。
しかしそれらが収まり、巻き上げられた土煙の向こうから現れたレインは全くの無傷であった。
出血はおろか傷一つ負っていないその姿に流石のレッドアイも少しばかり表情を歪めたように見えた。
「グルルルル・・・」
顎に力を入れ、咥えていた魔物の体を噛み砕いて消滅させるとレインは再びレッドアイとの距離を詰めて行く。
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