EP6 アンダーアルカディア③

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「ッ・・・!?」 だがその時、突如としてシエルの全身を刺すような激痛が襲った。 見てみると、先程まで自分の隣りで話していた筈のレインも地面に膝を突き、同様に苦しんでいるのが見えた。 この体の内側から来る痛みには覚えがある。 アンダーアルカディアに身を置く者であれば誰しもが知っている痛みだ。 「キャ、キャパシティダウン・・・」 シエルがそれを口にした直後、背後からこちらに向かって近付いて来る足音が聞こえた。 その足音の主もまた、アンダーアルカディアに身を置く者であれば誰もが知る人物であった。 「ったくよ~。何を二人でタラタラ話し込んでんのかと思ったら、くだらねぇ昔話かよ」 そう言ってその人物はレインのすぐ側までやって来るといきなり自分の腰の剣に手を伸ばし、それを身動きの取れない彼の背中に向かって勢い良く突き刺してきた。 「ぐッ、うぅ・・・」 グサッという生々しい音と共に剣の切っ先がレインの胴体を突き抜ける。 「今更どんな言葉を並べ、どんな言い訳をしたところでコイツの部下が全員くたばったという事実は変わらねぇ。そしてその理由ははっきりしている。コイツがテメェの仕事も満足にこなせねぇような能無しだったから部下は全員死んだんだ。誰のせいでもねぇ。隊長として隊員を守るだけの力が無かったコイツのせいでな。弱ぇ奴が悪いんだよ」 どうせ今回も付いて来ているんだろうと思ってはいたが、やはり予想は的中していたらしい。 今更驚きはしないが、やはりこの男の顔は何度見ても腹が立つ。 レインの体を貫通させ、血の滴る剣を握り締める男の顔を見ながらシエルはその名を口にする。 「ゼ、ゼアル・・・!!」 「いちいち呼ばれなくても自分の名前くらい分かってる」 フンと鼻で笑いながらゼアルは見下したような目でこちらに視線を向けていた。 c1915c48-5854-42bb-8542-0c46655c9526
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