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人目を避けつつ道を進み、リオン達が角を曲がったその時だった。
「うあッ・・・!!」
突然リオンが声を上げながら前方へと吹っ飛び、地面に転がった。
「痛ッ・・・」
苦痛に表情を歪めながら背中を気にしている彼の様子からして、何者かに背後から蹴り飛ばされたようだ。
残された者達が急いで背後を振り返ると、そこには三人の男達が立っていた。
先程、転移門広場にやって来たリオン達の事を見てヒソヒソと話していたあの三人の男達だ。
「こんにちは。僕ちゃん達」
「お前等みたいなスラムのゴミ共が一体何の用だ?ここは俺達人間のエリアだぜ?」
「臭くてたまんないんだよね。さっさと帰ってくんない?元居たゴミ溜めにさ」
ケタケタと笑う三人の男達は正義の執行者でも気取っているつもりなのだろうか。
いきなり子供を蹴り付けておきながら全員が楽しそうな表情を浮かべていた。
人目を気にして人気の無い所を進んで来たつもりだったが、ここに来てそれが裏目に出た。
助けを求めようにもこんな路地裏には自分達以外誰も居ない。
仮に人が居たとして、こんな小汚い子供達を守る為に動いてくれる者が居るかは疑問だが。
「俺達が何処で何をしようとお前達には関係無いだろ。外に出ちゃいけないなんて決まりは無い。俺達はただ他のエリアを見てみたくて来ただけだ」
苦しそうな表情を浮かべ、呼吸を乱しながら立ち上がったリオンが三人の男達にそう言い返した。
すると三人の男達の表情が途端に不機嫌そうなものへと変わっていく。
「あ?何だとこのガキ」
「口の利き方知らないガキとかマジムカつくんですけど~」
「これ、教育必要じゃない?勿論、全員にさ」
バキバキと指の骨を鳴らしながら周囲の者達に目をやり、躙り寄る男達にリオンが叫ぶ。
「や、やめろ。コイツらは関係無いだろ。やるなら俺だけをやれよ!」
「うるせぇ!ガキが生意気に意見してんじゃねぇよ!!」
そこから先はただ一方的な暴力だった。
相手が子供だろうが容赦は無い。
男でも女でも関係無い。
非力な子供が彼等相手に力で敵う筈はなく、リオンを含むその場の全員が殴る蹴るの暴行を受け、全身を痣だらけにされた。
大した抵抗も出来ないリオン達をひとしきり暴行し、満足したのか、三人の男達はその場から離れて行った。
彼等は去り際の最後まで笑っていた。
大半が気を失うまで暴行を受け、立ち上がる事が出来なくなる中、辛うじて意識を保っている者も何人か居た。
その中の一人であるシエルは汚い地面に転がりながら去って行く男達の背中を睨み、自分達に降り掛かったこの状況を呪った。
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