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普通に考えればこんな条件の悪い所に住もうとする者など居ない筈だが、その日食べるものにも困る程の貧困層の者達はそうはいかない。
南エリアの宿泊施設や東エリアの居住区に設けられたアパートやマンションで生活するだけの金が無い者が暮らしていける場所は自ずと限られてくる。
幸い土地だけはあるのが西エリアの強みだ。
そうした者達が少しずつ西エリアへと集まり、路上生活を始めるようになった事で現在のスラム街の原型が誕生したのだ。
何等かの理由で他のエリアを追い出された者や生まれた時からそこに居る者等、現在のスラム街には実に様々な者達が生活しており、その規模と人口は年々増加傾向にある。
西エリアには大規模なゴミ処理施設がいくつも存在する為、スラム街の者達は主にそこに集められたゴミをリサイクルする事で生活している。
だがそうした治安の悪い地域でゴミに囲まれながら生活する者達はやはり他のエリアに住む者達の目には良く映らないようだ。
他と比較した場合、西エリアの住人達の生活風景が明らかに異質なものだからだ。
自分達とは全く違う別の生き物だと差別し、忌み嫌う者は跡を絶たない。
そんな目で自分達を見ている者の前に出て行ったらどんな酷い目に遭わされるか分からないと怯え、西エリアの外に一度も出た事が無いという者も居る程だ。
ここに生まれた時点で人生負け組。
このスラムで生まれ育ったリオンやシエル達がエリアの外に出ただけで人にあらずといった扱いを受けたのは、そうした社会的な差別によるものが原因だったのだ。
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