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第2話
そうと決まれば仮装の準備だ。100円ショップで買った小道具程度しか持っていない涼司は、さてどうしたものかと思案に暮れる。やはりガチにはガチで対抗しなければなるまい。相手がどこまで本気を出して来るのだろう?
ネットであれこれ調べて、通販サイトを物色して。
刺激のない毎日が一転、にわかに気忙しくなってきた。
いよいよホテルに向けて出発する日が来た。
どうしても、佐倉には内緒で行きたかったので、母方の祖父の名前でホテルの予約をした。 荷物は替えの下着と仮装の準備だけ。 気ままな一人旅だ。
特に何の計画も立てていなかったので、適当な時間に起きて適当な時間に出発、鈍行列車の旅と洒落込む。気が向いたら途中の駅で降りてみてはご当地グルメに舌鼓を打つ様子をSNSに投稿してみたり。
道中でしっかり観光を楽しんで、ホテルではもはやパーティーに参加して寝るだけ。
コスチュームは、狼男にした。一式揃ったセットが売られていたし、それを着るだけでそこそこそれなりに見えるし。
そして衣装にあやかって、自分自身もう少し勇気を出してオオカミになってみたいもんだという変な験担ぎも込めて。
今度こそ、自分が主導権を握って、佐倉を襲ってみたい…なんて。
……今年も、やるのか。
そりゃ、やるよな。
佐倉にとって憂鬱なシーズンがやってきた。
毎年、無駄にハロウィンに力を入れるこのホテルでは、かなりガチなハロウィンパーティーが行われる。
海辺のリゾート地にあるこのホテルでは、当然夏が終われば客足も減る。そこでこの時期にこの催しを開くことで、少しでも夏以外の客足を増やそうという思惑だったのだが、予想以上に好評で、それゆえ年々グレードアップせざるを得ない状況になっている。
その日従業員は全員強制的に本気の仮装を強いられ、余興やなんやと忙しい。
なんとか毎年副支配人という肩書きのおかげで余興要員からは外れている。
余興要員となると、カボチャの着ぐるみを着たり布一枚かぶってお化けになったりと、言うなればイロモノ的立ち位置に立たされる。
去年はフランケンシュタインの仮装で無難に乗り切った。
今年は……。
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