唯一が二人になった時

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その頃から気付くと、いつの間にか健流は晴臣を挟んで友人との間に居た。 最初は驚く友人達も、健流の人柄で違和感がなくなり、一緒にふざけて笑い 健流と肩を組み、身体を叩き合いじゃれてくれた。 今までずっと、周りの友人の顔ぶれが変わっても、増えても減っても、健流の友人達と居る時も 晴臣と健流の位置は、ずっと変わらない。 他人を挟んで、健流そして晴臣。 健流が一緒に居てくれるだけで心強く、今までバレる事も無く、トラブルもなかった。 そのお陰で、晴臣自身余裕が出来て、健流が居ない時は、触れられても極力外に出さず、なるべく触れられないよう対処出来るようにもなった。 (大人になったら、治るかも知れないし。今は全く無理だけど……) 残念ながら未だに、健流以外はダメた。けれど、健流のお陰で気にせずやってこれた。 「前田君と健流は、仲良くなってくれるかな? 性格は、合いそうにないけど」 二人の姿を夜空に思い浮かべ、晴臣まだ健流の体温が残るベッドで、眠りに就いた。 *  *  * 晴臣の予想通り、健流と樹は噛み合わなかった。性格に共通項がまるでない。 初めて健流に会った時、樹は変わった生き物を見る目で見ていた。それに加えて、突如現れたクラスの違う見知らぬ奴という状況も、奇異に感じただろう。 だけど晴臣は、やっぱり樹と友人になって良かったと思った。 健流の勢いに全くひるまず、鈍感力で即座に違和感しかない状況を受け入れてくれる。 健流の突飛な言動や行動に、冷静にツッコミを入れてくれる。 あの健流が口で負けているのも初めて見た。 健流越しに見る二人の様子が、晴臣は楽しかった。 さんざん言い合う二人なのに、家で樹の話をする健流は楽しそうで、晴臣はまたそれが嬉しかった。 同じクラスだから、健流が不在の時も二人で行動することが多くなり、趣味が合い、感情の波長も合うと感じる樹とはどんどん親しくなった。
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