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仲直りの後、健流の部屋のベッドでした、初めての行為は……めちゃくちゃだった。
セックスなんて到底言えない代物で。
指と違って挿入が上手くいかず、何度も悪戦苦闘し、試みては失敗した。
それでも何とか、途中から投入したハンドクリームの匂いにまみれて、痛みしか感じず、だけど漸く二人繋がった時
「大丈夫、か?」
「だ……大丈夫じゃ、ない!!!」
問い掛けられたいつもの言葉に、晴臣は初めて全力で否定した。
冷や汗と、ハンドクリームと、繋がる前に放った物にまみれながら、何故か同時に笑いがこみあげ、一緒に笑い合った。
繋がった後も、健流は動かず衝き上げもせず、ただ、じっと二人で抱き合っていた。
健流は、晴臣が恥ずかしくなるほど愛おしそうな目で見つめ、晴臣の身体中にキスをした。
「健流ただいまーーー!」
「健流君、お土産買ってきたわよ!」
玄関が開く音と、声が微かに聞こえ、一瞬のうちに、二人我に返った。
健流が返事だけをして、布団を二人引っ被り、繋がっただけで、何もしなかった性器を健流は慌てて抜き、暗闇の中手探りで晴臣は下衣を履いた。
布団の中、怯え慌てながらゴソゴソ証拠隠滅していると、頭同士ゴツンとがぶつかって
二人痛みを堪え声を押し殺して、また笑い合った。
快感一つ得ることも無く、色気もムードもなく、二人共幼さそのままで、格好悪い事この上ない初体験だったけれど
紛れもなく、今までと違う関係になった証を、互いの身体に刻み込んだ行為だった。
* * *
その後、健流が晴臣の部屋に再び訪れだし、受験の合間のスキンシップの行為はエスカレートしたけれど……
最後までは、あの日以来しなかった。
ちゃんとしたセックスをしたのは、高校生になってからだ。
「今でも笑える。一生、笑えるよ」
晴臣はあの日を思い出し布団に潜り、健流に抱き付き、声を押し殺して思い出し笑いした。
-おしまい-
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