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「……はあ?!」
冗談かと思ったが、健流の爛々とした目を見て、晴臣は長い付き合いから、本気の大真面目だと察した。
「借りるより、買った方がきっと早いと思うけど。
まだローンは組めないのかな?どんな仕組か今度本間部長に聞いてみよう。これから、頭金貯めなきゃな! 給料とボーナス無駄遣いやめよ!」
「ちょ、ちょっと健流?!」
「勿論、臣と今みたいに一緒に居れる様にする。そのために、家買う。
……でも、もし、臣が本当に好きな奴が出来た時は、いつでも、出て行ってくれて構わない。別れたら次の奴が出来るまで、戻って来て欲しい。
あ、でも……別れなくても、やっぱり来てほしい。前にも頼んだけど……”別次元の家”って思ってくれたら」
「……」
「お願いだ……ダメか?」
健流は久々に自信なさそうな様子で、窺う様に話してきた。
愛おしそうに、絡めた晴臣の指を頬擦りし、手を握ったまま、祈る様に額に当て。
「ダメに、決まってんだろ」
晴臣の腹の底から唸るような声が部屋に響き
聞いたことのない声色に、健流はビクつき肩を落とした。
「やっぱり、ダメか……」
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