【 第一話: やつが来る! 】

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【 第一話: やつが来る! 】

 俺は、独身でアパートに一人暮らしをしている公務員。  いつも決まった時間に出勤し、決まった時間に帰宅する、それが俺のお決まりのルーティーンだ。  性格は至って真面目で、争い事も決して好まない平和主義者。  なのに……。  何故(なぜ)、やつは俺を狙ってくるんだ……。 「ふぅ~、今日も無事仕事終わったな……。あっ、洗濯物が干しっぱなしだったな……」  俺は、いつもの通り、洗濯物をアパートのベランダから部屋へ荒々しく投げ入れた。 「とりあえず、全部乾いてるな……。んっ!? クンクン……。く、臭い……。また、臭い……」  また、やつが現れた……。  いつも『逢う魔が時(おうまがとき)』に、どこからともなく飛んで来て、温かく乾いた俺のシャツに取り付くんだ。  そして、強烈な悪臭を放ち、俺の鼻の形を変え続ける『緑色の物体(・・・・・)』。 「どこだ……、どこにいるんだ……」  やつは、硬い(よろい)に覆われた、少し茶色がかった緑色の体をしている。  そして、手足は細長く、目は真ん丸とかわいいのだが、アイツの必殺技を食らったら、俺は一溜(ひとた)まりもないのだ。 「早く見つけなければ……」  俺は焦っていた……。  何故なら、発見が遅れれば遅れるほど、俺のダメージは計り知れないものになるからだ。
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