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【 第二話: 姿が見えない 】
やつの顔は、いつも『ポーカーフェース』。
顔色が全く分らない……。
アイツが何を考えているかさえも……。
「くそっ……、どこにいるんだ……」
俺は、全ての洗濯物を調べたが、どこにもやつの姿がない……。
どうしてなのか……。
「クンクン……、でも、臭い……。いる……、どこかにいる……」
でも、やつはいなかった……。どこを探しても……。
やつは強烈な悪臭を残して、姿を消したのだ。
俺はその夜、やつの残した臭いと戦いながら、床に付いた。
――次の日の朝、その臭いは多少薄くなっていた。
しかし、この残り香は、やつがここにいたことを物語っていた。
「クンクン……、まだ少し臭うな……」
俺は、仕事へ向かうため、昨日洗濯したシャツを羽織った。
すると、背中に何やら当たる、異様な違和感を覚えた。
「んんっ? 何かムズ痒いな……。何だ……」
俺が背中に手を回すと、やつが動き出したんだ……。
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