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【 最終話: 逢う魔が時に現れし怪物 】
やがて、その巨大な怪物は、俺を探すのを諦めた様子だった。
俺は、逢う魔が時に現れた、あの巨大な怪物から逃げ切ったのだ。
俺は安心して、またその温かな布に包まれながら、深い眠りに落ちていった。
――そして、翌朝、けたたましい音に起こされると、またしてもあの巨大な怪物が現れ、俺に襲いかかってきた。
「な、何だ! また、あの化け物か!?」
俺は、その怪物に振り回されながらも、やつの背中にしがみ付いた。
すると、やつは、ドンドンと音を立てながら、俺を振り落とそうとした。
「や、やめろーーっ!! 俺は、人間だぁーーっ!!」
俺は、振り落とされないように必死で、手と足でやつの背中にしがみ付き、踏ん張っていた。
そして、やつは、俺のしがみ付いていた布を剥ぎ取ると、次はその大きな手で俺に襲いかかってきた。
『バチーーーーンッ!!』
俺はまたしても、トラックに挟まれた時のように、ぺちゃんこに体を押し潰されてしまった。
その後、俺は大きな白くて柔らかい紙に包まれて、どこか金属の入れ物に投げ落とされた。
俺は薄れ行く意識の中で、あの巨大な怪物の口から俺の理解のできないこんな言葉が、微かに聞こえてくるのを感じていた。
「ふん! この『カメムシ』野郎が!!」
俺の体からは、どこかで嗅いだことのある、あの『懐かしい悪臭』がいつまでも漂っていた……。
END
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