日が沈み、猫が死ぬ

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日が沈みかけた頃、ようやく家の玄関の前にたどり着いた。自分の意識と同様にあたりは薄暗く、鍵がうまくささらない。 どうやら少し熱があるようだ。会社をでて、電車に乗っているあたりから体調が怪しかった。 なんとかして扉を開け、靴を脱ぎ、その場に横になる。床が冷たくて気持ちいい。 ここで少し休んだら、シャワーを浴びて、今日はさっさと寝てしまおうと思いながらうとうとしていると、お腹の上に飼い猫のハチが乗っかってきた。ご飯の催促で起こしにきたのかと思い、優しく頭を撫でる。 「やあ、伝わっているかな?」とハチが喋った。 ハチの口元はにゃーと言ってる形なのに、自分には確かに人の言葉に聞こえた。 驚きのあまり、重たい瞼をこじ開ける。
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