運命

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※ハルトゥ王国 執務室 「父上……今、なんと(おっしゃ)いました?」 すらりとした長身の軍服を見に纏った女は目の前の王の言葉を聞き逃した 「ハルトゥ王国からイウリオス帝国に輿入れする者、第一王女のお前。 シイカを選んだ、そう申した。」 シイカは聞き逃したわけでもなく王の言葉が信じられず眉間にシワが寄る 「それは王としてですか、それとも父としてですか?」 「無論、どちらの立場でも娘をヴェルデの奴に渡すならお前しかいない」 「婚期は過ぎております」 「知っておる、周知の事実だ」 シイカはとっくに婚期が過ぎてる上に皇帝より一つ歳上であり、帝国が統治国へ王女を1人召し上げさせる趣旨の命令は知っていたが当の本人は自分が選ばれると思ってもみなかった 「……国連軍指揮官として十五歳から生きてきました。 今更(いまさら)、嫁げなど……しかも皇帝陛下の元にとはどういうお考えでしょう?」 シイカの目つきは生まれながらに先代王の鋭い目つきを受け継ぎ持っている。 それに目を向けられただけで大抵の男は腹の中心を掴まれたように胃が痛む、それは父王も同じであり目を逸らすがシイカの疑問は尽きない 「まさか、軍事権を帝国に譲る気ですか……?」 ハルトゥ王国は大昔にイウリオス帝国との戦争で勝利を収めて統治下に入っても二百年、軍事力の差は歴然のまま圧倒している その要ともいえるハルトゥ王国第一王女でもあり異例の実力で元帥に上り詰めたシイカ王女が嫁ぐともなれば、そういう事でもおかしくはない。
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