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 満天の星空が美しい、とある町外れの静かな漁港──。 「ほらよ、お前の落としものだ!」  俺はそう言って目の前の男を殴り飛ばした。まるでCGのように男の体は後方へ吹き飛ぶと、壁にぶつかり一瞬の間を置いて地面に崩れ落ちた。  鼻血を流した男はフラフラと立ち上がると、俺を睨み付ける。膝が小刻みに揺れるのを見ると俺は嘲笑うように男を蹴り倒した。 「おい、御礼は?」  俺は男の胸ぐらを掴んで無理矢理立たせると、そのままもう片方の手で首を締めた。男の呻き声が弱くなっていき、掠れた呼吸の音だけが口から漏れる。 「分かったか? これが人の痛みだ。苦しみだ」 ──お前の落としものだ。  俺は男の首がコクリと下に動こうとするのを確認するとニヤリと笑い手を離した。男の瞳は満天の空を見つめたまま動かなくなった。 「つまらないもの、拾っちまったぜ」  俺はタバコに火をつけると、満天の空を眺めて目を細めた。 「……はぁい! カット!」
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