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「ーーーー」
目が覚める。
見慣れた天井が視界に入り、額のタオルはひんやりと冷たくて、気持ちが良かった。
……いや、冷たい?
「あ、起きた?」
そう疑問を抱いた瞬間、そっと視界の隅から意外な人が現れた。
「ーータヌキ先輩?」
「そうそう、君の愛人のタヌキ先輩だ」
「しまいにゃ襲うぞ、コラ」
アホな事をいう先輩に気怠げにツッコミを入れて上半身だけ起き上がる。
頭痛はすっかり消えており、熱もない。うん、もう大丈夫そうだ。
「どれどれ」
「!?」
コツンと、タヌキ先輩が額を重ねてきた。
顔の熱さと早鐘を打つ心臓は、風邪以外が原因ではないだろう。
「ーーうん、大丈夫そうだね」
10秒ほど、しっかりくっつけたタヌキ先輩の顔は離れる。
意外とミント系の良い匂いが鼻をくすぐっていたが、同時に自分の汗臭さが気になってしまう。
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