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「……なんで家に?」
時計を見ると、既に17時を回っていた。どんだけ寝てたんだ、俺は。
「襲いに来た」
「あれ? あなたそんな肉食系でしたっけ?」
「キミ相手に遠回しは意味がないだろう?」
慎みは持て。
「それでーー」
ドスンと、布団越しに俺の上に股がって、ズイッと顔を近づけてくるタヌキ先輩。
「そろそろいただいてもいいかな?」
ペタリと俺の頬に手を当ててくる。ひんやりとして気持ちいい手が更に俺の体温を上げにきた。
「ーーーー」
もうすでに、吐息が感じられるくらいの距離に近付かれて、俺は思考停止しかけた。
ーーそれを押し止めたのは、タヌキ先輩の吸い込まれるような瞳と、表情を見たからだ。
「ーー先輩」
俺は頬に置かれた手を取りーー
「ーー弱ったところに付け入ろうとするなんて、らしくないっすよ」
「…………」
急速に冷えた自分の思考と感情に従い出した返答は、口付けをしそうだったタヌキ先輩の動きを止めた。
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