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「酷いヤツだな、キミは」
真っ先にとんできたのは、罵倒だった。
いや、違うな。ただの事実か。
「……自覚はしてます」
いつもそうだ。俺は毎回、焦り始めるとロクなことをしない。
【自分の気持ちを他人に委ねる】なんて、やってはいけなかった。それが、好きな人であるならば特に。
「本当にそうだぞ、まったく」
そういってタヌキ先輩は俺の頭を掴むと、
「ーーわっぷ!?」
ーー自分の胸に引き寄せて、抱き込んだ。
……大きいとは言えないが、そこそこ弾力のある暖かい【お餅】の感触が、制服越しに伝わってくる。
「ーーそこまで追い込まれなくたって、良いだろうに」
そう呟くようにタヌキ先輩は言って、抱き締める力を強めた。
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