「バイバイ 後輩くん」

３

「というか、わかってたんですか？　俺がどう考えてたか」

　タヌキ先輩の言い方だと、まるでわかっていたみたいだ。
　俺自身、さっきようやく理解したというのに。

「あのね、後輩君。君は自分で思っているよりわかりやすいんだよ？
　そもそも【キツネに告白した】時点で、君は意識をキツネに一番割いているんだ」

　まあ、確かに。
　じゃなきゃ、わざわざキツネ先輩をいの一番に呼び出したりはしない。
　冷静に考えればすぐにわかりそうなもんなのに、気が付かなかったあたり、俺もどうしようもないな。

「私に勝機があるとすればーー君がそれを自覚する前に割り込むことだったんだけど……」
「すいません」
「謝らないで」

　いや、謝るべきだ。
　何せ、タヌキ先輩の想いを利用して自覚したようなものなのだから。