0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ーーーーそれってさ?」
キツネ先輩は一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐにいつもの笑顔に戻り、
「私だけが好きな訳じゃ、ないよね?」
そう、俺が言おうとした言葉の続きを紡いだ。
「ーーはい」
俺は、静かに呟く。
「わからないんです……俺は」
そういって俺はまっすぐにキツネ先輩を見る。
ーー逸らしてはいけない。それはケジメでもあるのだから。
「美空は、好きです。この間、タヌキ先輩からも迫られました」
「ーーーー」
キツネ先輩は俺の意味がわからないであろう言葉と目線を黙って受け止めてくれている。
「ーー二人は俺に好意を向けてくれている。だから、俺はそれに安心してしまったんです」
最初のコメントを投稿しよう!