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ここまでのあらすじ
色々あって幼馴染みのお姉さん、巴さんに見事失恋した俺は、その後に起きた真昼の恋愛関係のゴタゴタ(俺の自業自得)を無事解決した。ーーしたはずだ、多分。
その真昼から、俺は浮気性でチョロい(意訳)と言われた俺は、悶々とした日々を過ごす。
誰を選ぶべきか?ーー否、誰が好きなのか?
そんな回答の出ない問いをここ一週間、ぐるぐると繰り返していた。
「ーーーー」
俺は教室の窓から外を覗く。
あいにくの雨模様に周囲は暗くなり、夏だというのに少し肌寒い空気が教室内に漂っていた。
「やっほっ! ごめんね、少し遅れちゃった~」
誰も居なくなった放課後の教室に、そんな寒々しさをものともせずに彼女が現れた。
俺の突然の呼び出しに、嫌な顔一つせずに笑顔で現れたキツネ先輩は、つつつと距離を詰めてきた。
「で、急に何かな、後輩くん? 急に『二人だけでしたい話があるって』」
「…………」
「? 後輩くん?」
窓ガラスの反射で見るキツネ先輩に俺はゆっくりと振り返り、改めてジッとその顔を見つめる。
俺の常とは違う空気に、キツネ先輩は何かを感じ取ったらしく、不思議そうに首をかしげた。
「……キツネ先輩」
「ん? 何?」
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