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表と裏
例えば今ほど努力しなくても、きっと世界では生きていけたのだろう。
服装を考えたり、姿勢を気にしたり、美容に気を使ったり、爪のケアをして、ムダ毛は処理して、差し入れを考えて、化粧もして、リハーサル前に台本を頭に入れて、共演者に挨拶したり、スタッフにも挨拶して、撮影が始まればカメラアングルを気にし、おもしろいこととか言って、それがたとえ滑っても次に生かすようにして、帰宅後は反省をしたり、いろいろとお手入れをしたり、睡眠時間に気を使ったり、本を読んだりして自分を高めたり…。
きっと、こんなに努力しなくたって、生きていける。生きてはいける。
でも。
この立場を確立するまでに、途方もない時間を費やしてきた。
この職業で生きていくために、途方もない努力をしてきた。
煌びやかな憧れのその先には、嫌なことも、胸糞の悪いこともたくさんあった。
だけど今、こうして憧れの職業に、努力でたどり着いた。
ちゃんと、私はここに生きている。
なのにどうして、そんなことを言われなきゃならないの?
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