第2章【逃避】

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永遠も、信じれない。 平和なんて戦争のひと休憩のようなものに過ぎないし、愛なんて別れるか死ぬかのどっちかだ。始まりに終わりがあり、永久に続けられる喜びは存在しない。 そしてその永遠に続かない、不断の努力によって得られた一時的な喜びを人々は「幸せ」と呼んだ。生まれてから無意識に、それを求め続けて、そのために理由を問わずに人は努力していた。そしてその事を「生きる」と呼んだ。 僕は昔と比べて自分の一時的な幸せを強要しなくなった。 僕は何億もいる人間の中の1人にすぎない。毎日ありもしないことに悩んでは彷徨う幽霊のようなものに、幸せを与えても、何れ消えてしまうのだとゆう負の感情の方が大きいのだ。 本当はもっと明るく考えれる人だった。 昔は例えいじめが襲いかかってもなんとも思わなかった。悪口なんて好きなように語ればいい。僕が生きることを邪魔しなければよいと。 でも今の僕は、猫に掴まれたネズミのようになって、与えられた運命を受け入れることしか出来ないほど弱まってしまった。 誰かに同情をしては自分の心を削っていた。少しのことでも傷つきやすくなっていた。 ようやく最近になって、それが無くなったのだ。 それでも自己犠牲なところは、無くならなかった。こんな自分が他人に貢献されるなんて、自分にそれほどの価値はないと、他人の「幸せ」を自分の「幸せ」と見立てる時がただあった。
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