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無愛想に返事してはいるが、それでも眩く輝いている。
なにも悩みは無そうに見える。彼女にはずっとこのまま単純で純粋な少女でいて欲しい。
そう彼女を見詰めた。
「朝ごはんまだ食べてなかったね、着いてから食べればいいんじゃない?」
「でも、3時間目に食べた方がいいのか、1時間目にもう食べた方がいいのか、今日朝から体育だし…」
2択問題には特に苦手な子だった。
結果は大して変わらないのに、彼女の中ではそれが運命に関わる一大事のようにすぐに決断することが出来ない。そのため基本僕が代わりに決めてあげなくてはならない。
「3時間目にしたら?どうしても空いてるのなら、2時間目でも、十分に持てると思うよ」
そうアドバイスをすると、彼女はすっかり問題を解決して、
「じゃあそうしょう!」と結論を出した。
本当に陽気な人だ。
知らぬが仏のままの方が、僕のようにはならない。彼女がこう見えて実は強さを盾にしてるだけであった。彼女の様な女性は常に強い。
彼女の方がよっぽど、僕よりも精神的に成長していると感じている。
僕は彼女みたいにはなれない。
まだ精神は子供だ。魔物の存在を考えることを放棄するという簡単なことさえできないのだから、いつまでもこうして気にしている。
何も出来ない癖に、偉そうに人間を皮肉っては、自分もそんなもんだと自棄になっていた。人間という存在に、知らぬ間に責任転嫁していた。
住宅街だからといい、朝は賑やかだった。車も通るし、鳥の鳴き声も聞こえる。
仮面舞踏会に出る人が沢山いる中で、僕たちがいた。
歩いていたほうが、バスで閉じ込められるよりかは開放的である。歩きたいとゆうよりかは、狭い空間で見知らぬ人たちと詰めになるのが嫌だったから、たとえ時間と体力が消耗されても、坂を登りたかった。
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