1、お泊まり

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1、お泊まり

 ヨッシーと二人で寝転んでゲーム中。  ふわふわのラグは気持ち良いし、今日は嵯峨さんも宗護の家でお泊まりだ。  俺もヨッシーも動物村の住人だから、二人で家を改装してる。 「そのソファいいね」 「そうですか?」 「うん。赤いソファって可愛いな」 「パッチワークみたいな赤いソファが実際ありますよね。すごく高いみたいですけど」 「へぇ。どんなだろ?うちのも宗護んちもシンプルだから興味あるよ」 「龍之介様のお家もシンプルですよ」  宗護はそれほどゲームをするタイプじゃないし、ヨッシーが来てくれてすごく嬉しい。  宗護と嵯峨さんは、二人でたこ焼きの準備中だ。  宗護は黒、嵯峨さんは茶色のエプロンをしていて、二人とも凄く似合う。  宗護はともかく、嵯峨さんも料理が出来るとは思わなかった。  Ωの俺たちがゲームで遊んで宗護たちが準備をしているけど、問題なんか無い!  二人とも遊んでてって言うんだもん。 「ねぇヨッシー」 「はい、何ですか?」  にっこり笑ったヨッシーは、やっぱり可愛い。  柔らかな黒髪は相変わらず綺麗だし、アリスの時はウィッグだったけど、素でも可愛いんだ。  遊園地で遊んだのも楽しかったし、家で遊ぶのも面白い。  ヨッシーの耳にこっそり耳打ちをした。 「俺達、かなり愛されてんね?」 「あはは、はい。ですね」  照れてる様子がこれまた可愛い。  偶然にも色違いでお揃いだったgelato piqueの部屋着を着ているから、本当の兄弟みたいだ。 「オセロとトランプもしようね!普通の将棋はルールが分かんないけど、将棋崩しなら出来るよ」 「将棋崩し?って何ですか?」 「知らない?じゃあ後でやろ。単純だけどみんなでやると面白いんだ」 「はい!」  にこにこ笑うヨッシーが可愛くて、ついつい脇腹をくすぐってやる。 「ちょっ、ヒッカ!あはははっ」 「えへへ〜ヨッシーは可愛いなぁ」 「もう!えいっお返しです!」  ヨッシーの細い手が俺の首をくすぐってきた。  めちゃくちゃくすぐったい。 「ひゃはははっ、止めてぇ!はっ、く、くっくく」 「ヒッカもくすぐったがりじゃないですか」  思わぬ反撃に撃沈していると、キッチンにいる宗護と嵯峨さんの笑い声が聞こえてきた。 「子猫か。俺らの番は可愛いな」 「ほんとだよ。密も芳春君も可愛い過ぎだよね」 「こっちの準備はそろそろいいよ〜二人とも座って」  嵯峨さんに言われて起き上がると、テーブルの上にはたこ焼きの準備だけじゃなくて、サラダやポテトフライも用意されていた。  めっちゃ美味そう。 「たこ焼きだー!宗護、生地焼いても良い?」 「良いよ」 「ヨッシー、手を洗って焼きまくるよっ!」 「僕、たこ焼き焼くの初めてです」 「大丈夫、教えるね。面白いから」  俺とヨッシーはたこ焼きを夢中で焼いた。  油を引いたプレートに生地を流し込んで、タコ、紅生姜、天かす、キャベツをIN!  チーズ入りも楽しいし、海老、ボイルイカ、牡蠣のオイル漬け、アンチョビ、シーチキンにベーコン、野沢菜や沢庵まで具材は沢山用意されている。  サラダもすごく美味しい。  スモークサーモンサラダで、トマトやパプリカ、玉ねぎで彩り鮮やか。  大体焼けてきたから、食べながら焼く事にする。 「あちちっ、うっまーい!ヨッシー、チーズ入りめちゃくちゃ美味しいよ!」 「種類があって楽しいですね」 「どれ食べても美味しいけど闇鍋みたいだよな」 「あははは」  ヨッシーはとてもよく笑う。  あーやっぱ可愛い。  たくさん食べて笑ってお腹が落ち着いたら、風呂だな、と思ってヨッシーの服をツンと引っ張った。 「ねぇ、お風呂一緒に入ろうね?宗護んちの一階の風呂場って広いから滅多に使わないんだけど、俺、ヨッシーと入りたくて掃除しといたし」 「いいんですか?はい!」  二人でキャッキャウフフして、女子高生かと突っ込まれそう。 「ひどいな芳春、俺とは?」 「宗護と入れば?」 「なっ⁉︎酷いよ、密。そんな時言って忘れてるんだろうけど、密のアソコ、今もツルンツルンなくせに」 「ふぁっ⁉︎」  そうだった、忘れていた…  剃毛したデンジャラスゾーンは夏に剃って以来、中々元に戻らずずっとツルツルを保っている。  宗護は元に戻っているけど。 「うぅ…いいもん。入浴剤入れたら分かんないもん」 「ヒッカ、ツルツルなんですか?嬉しい!僕、全然生えないんですよ!」 「えぇぇっ?マジで⁉︎」  なんと灯台下暗し。  ツルツル仲間がここにいた! 「僕、小学校も中学校も修学旅行に行けなかったんです。誰かとお風呂なんて入った事無いから、すごく嬉しいです」 「えっそうなんだ!じゃあ、お風呂で遊ぶオモチャを用意しようかな」  水鉄砲とかさ。  そう思っていたのに、αの二人は顔を見合わせてニンマリ笑った。 「密ったら〜どっちもΩだからってエッチな事したらいけないよ?」 「密ちゃん、芳春は経験豊富だから、多分、足腰立たなくなるのは密ちゃんだよ?」  αってやっぱりどうしようもないな!  美形が二人してニヤニヤ笑うなっ 「アホかー‼︎」  多分、俺の顔は真っ赤だ。ほっぺが熱い。  ヨッシーも顔が赤い。 「清楚でお淑やかな子が乱れる姿は最高だよ」  …嵯峨さん、宗護並みに変態だな。 「無邪気でエッチな事なんか何にも知りませんっていう子が、実はめちゃくちゃエロくなっちゃうのも最高だよ」  宗護、黙ってろよー!ばかー‼︎ 「もーいい!ヨッシー、水鉄砲持ってお風呂に行こ!宗護と嵯峨さんは片付け宜しく!」  二人でアヒルのオモチャや水鉄砲を持ってお風呂に入る。  お湯を掛け合って遊んで、すごく面白い。  ピシャ!っとヨッシーの水鉄砲から飛び出た水がアヒルに当たる。 「えいっ!ヒッカといると楽しいです」 「ふふふっ、ヨッシー可愛いなぁ。えいっ」  ヨッシーの胸にピシャ!っと水を掛ける。  白くてきめ細やかな綺麗な肌は水を弾きまくりだ。 「あっ、やりましたね、お返しです」 「ひゃっ!やられたぁ。あはは」  そんな風に遊んでいたら、当然ながら上せてしまった。  立ち上がろうとしたらクラッと来て、ヤバイと思って壁に手をつき、なんとかバスタブを出る。 「ヒッカ⁉︎あっ、や、僕も」  ヨッシーも同じ事になっていて、フラつきながらバスタブから出た。  脱衣所でバスタオルでなんとか身体を包み、宗護を呼んだ。 「そうご〜のぼせたーきてー」  バタバタと宗護と嵯峨さんがやって来て、俺たちを抱き上げた。 「全く子猫ちゃん達には参るね」 「龍之介様…ごめんなさい」 「楽しかったならいいよ。着替えよう」  嵯峨さんがヨッシーを連れて行ってくれた。  俺の身体をタオルで拭いていた宗護も抱き上げてくれる。 「ここだとちょっと熱いから行くよ」 「うん」  居間に移動するとポカリを飲まされ、うちわで風を送られる。  宗護と嵯峨さんは嬉々として俺達に服を着せてくれたけど、めっちゃ悔しい。 「うー暑い」 「ほら、もっと水分摂って」  俺達が落ち着いた頃、宗護がお風呂に行くと嵯峨さんがDVDをバックから取り出した。 「密ちゃん、高山が桐峰でどんなか見たくない?」 「見たい見たい!」  ワクワクしながら見始めたけど、そこにいたのは俺が知らない宗護だった。
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