4人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
はあ、全くのエミコの奴、また昼食の時に恋愛相談とか言って延々とお姫様気取りして。アンタを中心に世界が回ってる訳じゃないっての!SNSに昼の写真あげるって言ってたけど、あの人、自分だけ顔の輪郭少しだけいじって周りより可愛く見せてるの、知ってるんだからね。
Yは電車を待つ間憤っていた。勿論心の中で思っているだけで口には出していない。それは彼女、もとい人間の得意技だ。人は様々な事を考えて生きているが、実際に表出させるのはほんの一部だろう。日が沈みゆく夕暮れの駅のホームでも、有象無象の思考や体が彷徨っている。オレンジ色の太陽の前をサラリーマンやギターを担ぐ高校生が通り、その度にYのスマートフォンの画面が明るくなったり暗くなったりする。
(チカチカして見にくい、ムカつく)
陽はまだ照っているものの、人々や駅周辺のビルディング、屋根の影でホーム内は薄暗い。
(いつになったら電車が来るのよ!そろそろ到着しても良い頃でしょ!)
最初のコメントを投稿しよう!