清ら松風、月影に謡う 【弐】

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 私は、誰よりも真守様を信頼しているの。真守様だから、うずら丸を安心して預けられているのだし。  何より、光成お兄様の話題で一緒に盛り上がれる唯一の『同志』なのですもの! 同志、すなわち信頼枠! 「じゅんばん、ないのか。まもり、ばんごうも、つけてもらえない、かわいそうなやつ、だったのか」  ん? 「どうしよう。うずらまる、まもりに、わるいこと、したかも、しれない」  うずら丸? 「たまこが、みつなりに、ほうこく、してたから、おなじこと、まもりにも、いった」 「……何を?」 「あつこが、こいしてる、あいてが、まもり、だって」 「えっ?」 「うれしい、しらせ、だって。たまこ、こうふんして、ないてた。だから、まもりも、うれしくしてやろうと、おもって、おしえてやった」  え……。 「そうしたら、まもり、はなぢ、ふいた」 「……」 「いまも、やねのうえで、はなにつめた、かみを、あかくそめてる。じゅんばんも、つけてもらえない、みじめなやつ、なのに。わるいこと、した」  ……どうしましょう。 「あ、あつこ。みつなりたちの、えんそう、おわったぞ。びゃくえんさまと、まもりを、よんできてやる。まってろ」 「あっ、うずら丸! 待って!」  『待ってろ』じゃないわ。あなたが待って! 待ってよ!  誤解されたまま、どうやって真守様と顔を合わせたらいいの? 「うずら丸ーっ!」
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