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食事が終わると、断ってもやると言い張る龍さんと一緒に台所を片付け、それが終わると龍さんは私にくれるという部屋を案内してくれた。その部屋は今までのご主人様が住まわせてくれたどの部屋よりも大きく、本当にいいんだろうかと思ってしまう程広い部屋だった。これも私に奴隷扱いしないことを示すための作戦なんだろうか。
それから龍さんは私に着るものを与えてくれた。それも、着古した破けたものではなく、とても綺麗な着物だった。もちろん私は何度も断った。だが、龍さんは気を遣う私を受け入れようとせず、結局私はそれを受け取ることにした。
もう一つ気が引けた理由として、その着物はただの着物ではなく、龍さんのお母さんが使っていたものだ。龍さんのお母さんは病気で他界されていて、私が気にしないのならとその着物を下さったのだが、そんな貴重な着物を私なんかに譲ろうとする龍さんはやっぱり変わっている。
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